◆身近に迫る歯周病
歯周病というと40、50代の方の問題だと思い安心なさっている方も多いことと思います。
驚くべきデータがあるのですが、20代で74%、30代で81%の方が歯周病を経験されています。
8020(はちまるにーまる)運動という言葉を耳になさったことがあると思います。
実際には、50歳から60歳にかけて多くの方が歯を失い、大切な歯を9本も失っているのです。
少しでも健康な歯を維持できるように、早めの治療が大切です。
◆歯周病の発生と仕組み
歯周細菌と呼ばれる細菌などが、歯周ポケットに入り込むことで、歯周病は発生します。
自覚症状を伴わない状態で進行していくため、歯や歯ぐき、そして骨までも、いつのまにか再生不能に陥っているというケースも少なくありません。
歯を支える骨が溶けてしまうことで、歯を支えることが困難になり、やがて自然に抜け落ちてしまうということもありますので、歯周病の早期発見が求められます。
◆歯周ポケットについて
「歯周ポケット」という単語は、よくテレビや健康系の雑誌など、すっかりおなじみですね。
健康で問題のない歯ぐきというのは、歯と歯ぐきの間にある溝(歯周ポケット)の深さが0~2mmということが一般的なのですが、歯周病におかされてしまうと、なんと2mm以上という深さにまでなってしまうのです。
歯周ポケットからは細菌が入りやすいですから、未然に歯周ポケットが深くなることを防ぐことが重要です。
◆歯周病の進行具合のチェックと歯周ポケットの深さの測定
歯周ポケットの深さは、歯周病の進行具合と密接に関連があります。
測定には、ポケット測定器(右写真)という、専門の測定器を用います。
歯周ポケットの深さによって、歯周病の進行具合の目安があります。
0~2mmの場合 | 健康で問題ない歯ぐきであるか歯肉炎であることが多い |
2~4mmの場合 | 歯周病の初期段階 |
4~6mmの場合 | 歯周病の中期段階 |
6mm以上の場合 | 治療に時間のかかるほど進行してしまった歯周病 |
少しでも不安がある方は、歯科医院で歯周ポケットの深さを測定されるとよいでしょう。
◆手軽にできる歯周病チェックシート
歯ぐきに隠れていた部分まで出てきて、歯が長くなってしまった気がする |
歯ぐきが膿んでいたり、血が出るなどして、引き締まっていない |
硬いもの(おせんべいなど)を噛み砕くことができなくなった(できる自信がない) |
歯磨き後のゆすぎで、赤い水が出てきた |
口臭がきつくなった気がすると指摘される、または自覚している |
最近、歯ぐきが赤色、紫色っぽくなってしまった |
口を開けたまま寝てしまうことがある |
安定していない歯があり、気になっている |
上の項目の中で、当てはまるものが1つでもある場合、早めに歯科医院で診察を受けましょう。
歯周病が進行する前に、早期発見が大切です。
◆歯周病と生活習慣の関係性
間違った生活習慣は、歯周病の悪化の原因となります。
1 歯磨きをしない
2 タバコを吸う
3 ストレスが日常的にかかる状況にある
4 歯ぎしり、噛み締めるという癖が治らない
5 睡眠時間が一定でないなど不規則、不健康な生活をしている
6 栄養が偏った食事、偏食傾向が強い
これらの要素が歯周病とは密接に関わっているため、歯周病は生活習慣病と言われています。
◆歯周病と糖尿病の関係性
◆歯周病と全身疾患の関係性
歯周病の原因の歯周病菌という菌は、全身のあらゆる疾患との関連があります。
糖尿病はもちろんのこと、肺や心臓に歯周病菌が入り込むことで、それぞれ「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」、「感染性心内膜炎」になる可能性があります。
近年では、「腎炎」、「関節炎」、「発熱」、「骨粗しょう症」との結びつきもあるのでは?と考えられています。
さらに、妊婦の場合、「低体重児出産」、「早産」というリスクもうまれるため、歯周病の予防、治療はとても大切なのです。
◆歯周病とタバコの関係性
重度歯周病の患者の、なんと90%が喫煙者であるというデータもあるほどで、非喫煙者よりも治癒が難しいともされています。 高齢者になればさらに、悪化してしまい治療が難しいこともあるのです。 タバコが歯周病に及ぼす影響として、以下のようなものがあります。
1 歯に歯磨きでは除去するのが難しい歯石(プラーク)の付着がしやすい
2 歯周病菌に抵抗する歯周組織の能力が弱まってしまう
3 歯周病の治癒に時間がかかってしまう
◆歯周病治療の流れ
歯周病治療の基本的な流れは以下の通りです。
1 消炎処置
2 検査
3 歯科医師、歯科助手による歯磨き指導
4 歯石の除去
5 スケーリング・ルートプレーニング
6 局所薬物療法
7 経口薬物療法
8 歯の固定
9 外科的処置
10 定期な健診・メインテナンス
◆歯石除去
歯周病治療において歯石を取り除くことは、健康な歯を維持するためにとても重要です。
歯石の除去には、手用のスケーラーや、超音波スケーラー(写真右)などの器具を用います。
一度、除去しても再びプラークが石灰化してしまうことがあるので、歯石除去は3~12ヶ月に1回行うとよいでしょう。
◆局所薬物療法
歯周ポケットに局所的に、軟膏状の抗生物質を週に1度のペースで注入する治療方法です。
歯周ポケットの深さが浅くする効果があり、出血や歯ぐきの腫れなどの歯周病症状も和らげます。
飲み薬のような副作用の心配が少ないため、多くの患者様がご利用されています。
◆経口薬物療法
1日3~4回、抗生物質(右図)や消炎剤などを服用します。
◆歯を失ってしまう原因
歯を抜く抜歯の原因は、歯周疾患である歯周病の約45%、その次が虫歯(う触)の約40%となっています。
これら二つで抜歯の85%を占めているため、80歳までに20本の歯を保つためにも、歯周病、虫歯を早期発見、治療することが求められます。
◆歯周病の最大原因:バイオフィルム
歯周病の最大原因として知られている、バイオフィルムはプラークの中の細菌がフィルム上になったものを指します。
歯磨きで落とすことができる歯垢(プラーク)と違い、バイオフィルムは歯科医院での特殊な器具による除去が必要になります。
◆8020(はちまるにいまる)運動
厚生労働省と日本歯科医師会により呼びかけられている、8020(はちまるにいまる)運動は、80歳までに自分自身の歯を保つという運動です。
自分の歯を一本も抜かなかった場合、成人の歯の本数は通常で28本(親知らずの生えている人は最大で32本)ですが、現代の80歳の日本人の歯の本数は約6本と言われています。
8020には程遠い現状ですが、半年に1回の歯の定期健診を受けて、丁寧に歯を磨くということがとても重要です。
◆プラークコントロール
歯磨きは一日に何回と決めて行うよりも、寝る前の歯磨きを念入りに行うとよいでしょう。
※歯磨き=プラークコントロール
◆プラークコントロール(歯磨き)のアドバイス
■ステップ1
30歳以降の方が多い歯周病の対策としては、歯と歯の間にある食べかすや歯垢を、歯間ブラシで除去します。
糸ようじやデンタルフロスより、SSかSサイズの歯間ブラシから試してみると良いでしょう。
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■ステップ2
必要に応じて歯磨き粉をつけて、細かく丁寧にブラッシング(歯磨き)をします。
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■ステップ3
歯磨き粉を水で洗い流してから、リステリンを原液でキャップ1/3~1/2程度入れ、30秒ほど口をゆすぎます。
そのあとは、飲食はもちろん、水でゆすがないでください。
以上の3ステップ(歯間ブラシ、丁寧なブラッシング、リステリン)を就寝前に行いましょう。
加えて、年に1回以上は、歯周病の早期発見、治療のため歯科医院の定期健診にいきましょう。
つつみ歯科医院
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